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GMBA卒業生体験記(2017年12月卒 /総合商社勤務)

時代に合ったプログラム

 

MOOCsに代表されるようにオンラインで一流教育機関のプログラムを体験出来る時代。7か国を生徒達が渡り歩いて寮生活を送り、普段はオンラインで世界各地の教授の授業を受けるミネルバ大学(2014年設立)は、一部では「ハーバード大学よりも入学が難しい」と言われています。

そのような中でIE Business SchoolのGlobal MBAプログラムは、オンラインでの学びを最大限に活用する世界最先端のMBAプログラムだといえるでしょう。

当然ながら、通常のMBAで学ぶ科目は当然ながら全て網羅され、他のMBAプログロムと同じように「グループでのプロジェクトワーク(5-6人のグループで授業の課題に取り組む)」を基本としています。日々、ビデオ会議やWhatsApp/Lineといったメッセージアプリでコミュニケーションをとりながら進めていきます。

本プログラムの特徴は世界中にクラスメートが居ることなので、文字通り24時間オペレーションで協力しながら課題に取り組んでいきます(「今から寝ます。ここまでやってあるので追加作業宜しく!」とこれから起床するクラスメートに引き継ぐなど、効率的にプロジェクトを進めていきます)。仕事と両立することで、授業で得た知識を即座に仕事で実行して学びを深められることも魅力的です。

本Schoolの「起業家教育重視」という方針に沿って、超一流のベンチャーキャピタリスト(兼 起業家)を教授に迎えて起業プランコンテストを実施する授業もあります。

 

一週間の流れ

 

土曜日に二コマ(90分×2)のオンライン授業が実施されます。2つの科目が1-2カ月並行しながら進められ、随時入れ替わっていきます。尚、本プログラムには2つのタイムゾーンが用意されていますから、居住地域に合わせる形で無理なく参加するクラスの時間帯を選択出来ます(私もそうでしたが、学習への集中度を高める為、居住するタイムゾーンの「早朝」や「深夜」に当たる時間帯を選択する生徒もいます)。

土曜日と土曜日の間の月曜日から木曜日には、教授のファシリテーションに基づき、「フォーラム」と呼ばれる掲示板システムに於いて、教材(ケーススタディ)への意見、関連する調査結果、自らの経験に基づく示唆等をクラスメートと共有します。フォーラムへの参加自体が授業とみなされており、1つの科目につき、原則、毎日1つの書き込み(100-200 words)が求められます(2科目同時進行なので、毎日2つ書き込みを行うことになる)。ケースを読み込み、クラスメートの書き込みを全て読んだ上で流れに沿った意見表明が求められるので、毎日1-2時間前後(個人差あり)をかける必要があります。

並行して、次の土曜日のオンライン授業に向けた予習(ケーススタディ用教材の読み込み等)を行う他、しばしば課題レポート(グループ・個人の両パターン)を作成・提出します。

クラスメートからは、「このプログラムはエンドレスで休む間がない!」「大変だが、非常に良いトレーニング/学びになっている!」と感嘆の声があちらこちらで上がっていました。

 

クラスメートの質

 

通常のトップビジネススクールに於けるものと同等の入学要件が課されていることもあり、クラスメートは、世界の若手・中堅ビジネスコミュニティに於けるトップ層が集まっています。マッキンゼー、P&G、SAP等のグローバル企業勤務者はさることながら、弁護士・会計士、起業家や医師もクラスメートになります。

中には既に若くして某中堅企業の取締役となっている者や某国の大統領ファミリー出身者もいました。国籍、仕事のバックグラウンドの多様性が担保されており、毎回非常に示唆に富んだディスカッションが展開されます。

一般的に、日本人は英語があまり得意でないと言われているので、英語力を確り上げた上で本プログラムに入学することが望まれます(私もそうでしたが、常に「英語も学びながら」にはなります…)。

尚、定期的に、グループのメンバーから360°Feedbackを受ける機会があり、国際的な環境の中で自分がどのように周りから思われ、何を改善すべきか気付く機会も与えられます。

3回実施される(1週間×3)マドリッドでの集合型研修(Face to Face Week)でお互いを深く知る機会が与えられていることにもサポートされていると思います。卒業後もLinkedInやFacebookで繋がっており、生涯続く友情を育んでいくことになります。

 

ビデオ会議

 

Adobeが提供するシステムを使っています。教授が顔を見せながらプレゼンや動画を使って授業を行います。生徒側も、ビデオ通話・文字による書き込みが可能なマルチチャネル型システムとなっています。毎回交代で、生徒も教授と同様の方法で課題発表を行います。

とても精度の高いシステムとなっており、教室での集合型授業と比べても違和感がありません。一方で、教授側は慣れないと「画面に向かって話し続けている」という感覚になるようです。このHPでも紹介されていますが、現在開発されている「WOWルーム」では、教授がより授業のライブ感を得られると共に、生徒側の発言が即座に採点されると言われています。

本MBAをもう一度履修することは体力・気力双方の観点から考えにくいですが(!)、新システムを近い将来利用出来る履修者の皆さんが羨ましい限りです。

 

仕事(及び私生活)との両立

 

確実に出来ます。というより、皆両立しています。オンライン授業・フォーラムにはインターネットでどこからでもアクセス出来ますので、出張が多い仕事でも対応可能です。

また、万一授業に出席出来ない場合でも教授にきちんと説明すれば追加課題を提出することで単位を認めてもらえるのが一般的です。それでも、私生活にかける時間を減らさざるを得ないので周囲・家族の協力・理解が重要でしょう。

趣味にかける時間は一切削ることになると思います(苦笑)。尚、私も宴席に出席することが一定の頻度でありましたが、深酒をすることは可能であれば避け、解散後に大量の水を飲むことが習慣になりました。二日酔いでは毎日続く勉強に集中出来ませんから…高い次元でのタイムマネジメント力(本MBAプログラムの「副専攻」)が身に付きます。

 

最後に

 

IE Business Schoolのスローガンは”Reinvent Higher Education”ですが、本プログラムはその言葉が正に体現されたものになっています。時代のニーズに正面から応える形で編成されており、しかも生徒からのFeedbackを受けながら常に改善され続けています。

とてもタフなプログラムでもあり、私は仕事の状況によっては途中で中断することも覚悟していました(3学期構成で、学期毎に許可を得て中断も可能)。その分、得られる学びは予想以上で、「人生を変えてくれる」プログラムです。

授業料も他のTop Schoolのプログラムに比べてリーズナブルなものとなっています(審査が必要ながら一部奨学金もあり)。パートタイムでのMBA取得を検討される方に、卒業生として自身を持ってお勧めします。皆さんの良いMBA受講生活を祈念しております。