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卒業生インタビュー:西村 俊輝さん (LLM International Business Law 2018)

IEといえばMBAプログラムですが、実はIE Law Schoolもあり、時代にあったInnovativeなリーガル教育を提供しています。今回はそのLLMプログラムを卒業した、コモンズ綜合法律事務所の西村先生にお話を伺いました。

スペインのロースクールで学ぶ

IEのLLMに入学した日本人は僕で三人目なんですよ。僕の前がMBAとDual DegreeでLLMを取得した日本人女性、その一年前に有名なインターナショナルファームの弁護士の先生でしたね。


意外といるんですね。では西村さんのこれまでのキャリアからLLMまでの道筋を教えていただけますか?


日本の大学を卒業してから、日本のロースクールに通い、その後司法試験に合格しました。現在所属しているコモンズ綜合法律事務所で5年半弁護士として働き、その後IEのロースクールに行きました。事務所からは一定額の留学費用を負担してもらい、超過した費用は全部自分で何とかするという形だったので、やりくりしながらでしたね。


ご専門分野は?


専門は企業法務です。クライアントは全て企業です。企業法務関連なら何でもやっているって感じです。


大手企業からあるいはスタートアップまでいろんなサイズの企業様を対象にされてるんですね。それから、こちらの事務所の他の先生達も、海外の色々なところへご留学にいかれているようですね。


事務所の弁護士は全部で6名いるんですが、比較的若いアソシエイトが僕を含め3名いまして、事務所の方針でその3人は全員、2年ずつ海外に行くことになりました。

2年のうち始めの1年は海外のロースクールで勉強し、もう1年は海外の法律事務所で実務を勉強することになっています。僕の前の人はアメリカのUCLA に行って、その後LAの事務所で働いて帰ってきました。彼と入れ替わりで僕がスペインのIE Law School、そしてスペインとパナマの法律事務所から帰ってきたので、次の人が今シンガポールのNSUのロースクールに行っています。


事務所としてはどこでやってもいいっていうことであったんですけど、スペイン選ぶってチョイスとしては珍しいですよね。


そもそもスペインを選んだのは、上がアメリカ下はアジアに行くっていうんで、僕はヨーロッパに行こうと思ったんですね。ヨーロッパならイギリスに行く弁護士が多いので、イギリスのプログラムも一応見たんですけど、アカデミックな感じで、実務家である弁護士資格を持っている人が行く LLMでも、授業数が少なくて、長い論文を書いてくださいみたいな感じだったんですね。僕のタイプにあんまり合わないと思いました。仕事で英語を使えるようになるよう、英語を使う機会が多い学校が良くて、中でも、企業法務をやっているので実務に使えるような内容が学べるところがいいなと思って色々見たら、IEのLLMが面白そうだったので行こうと思ったんです。


IEのLLMプログラムはどうでしたか?


面白かったですけど大変でした。僕はやっぱり英語が不得意だったので、最初慣れるのに苦労しました。多分MBAの人で英語苦手な方と似ている感じだと思うんですけど、発言したりディスカッションしたりとか慣れるまで最初は大変でしたね。

クラスは25人くらいですね。中南米と南ヨーロッパの弁護士ないし法務担当をしていた経歴の人という感じでした。中南米がブラジル、アルゼンチン、ペルー、コロンビア、ドミニカ、ベネズエラ、メキシコもいたので7カ国ぐらい、ヨーロッパはイタリア、フランス、ポルトガル、スペインで4カ国、あとアメリカと、アジアは僕とフィリピンの学生がいました。女性が多かったです。 大げさかも知れないけど、欧米は日本に比べて弁護士の女性の割合がかなり多いんですよ。だから国際会議に行くと女性の弁護士が結構多いんですが、日本で弁護士の会合に行くとおじさんばっかりですね。


プログラムの中でトレックはいかがでしたか?


トレックはロンドンとブリュッセルの2回。参加は任意なんですけど、法律事務所とかリーガルテックのスタートアップとかに連れてってくれていろんな話を聞きました。あとは裁判所とか、弁護士会とかにも行きました。

イギリスとアメリカってヨーロッパや日本とかと法律の体系が結構大きく違っていて、英米法、大陸法って言うんですけど、全く考え方が違うやり方なんです。だからロンドンに行けば全然違うというのも面白かったですし、ブリュッセルはEUの本部があるのでEU で扱っている法律の競争法とか、以前あった Google への課徴金とかを扱っているとこがあったりするので、それぞれ特色がある部署に行ってそこならではのものを見せてもらいました。


ご家族連れてのご留学でしたが、学外での生活はどうでしたか?


家族はもちろん大変なこともあったと思いますけど、全体で見るとすごい良かったと思います。

スペインを選んだっていうのは、僕は日本人がいない学校に行こうっていうのも一つあったんです。アメリカだと日本人の弁護士が行くとこはだいたい固まっちゃうので。

そうすると過去の日本人学生が作ったノートとかが色々あって、ある程度日本語で勉強できちゃうんじゃないかと。僕そういうのがもしあったら絶対楽な方に行っちゃうんで、日本人がいないとこに行こうと思ったんです。

でも妻自身は自分が行きたくていってるわけじゃないし、そんなに英語得意じゃないし、スペイン語ガッツリ勉強しようってモチベーションはないので、ある程度日本の人と関わりある方が良いなと思ってたんですけど、ちょうどIEはMBAに日本人がたくさんいて、その仲間に入れていただけたので、すごい楽しそうでした。妻はIEボランティアクラブみたいなのに登録して。何にいってたのかちょっと覚えてないですけど。

あと、サッカーはめっちゃ見に行きましたね。レアル・マドリードのスタジアムのサンチャゴベルナベウに歩いて行けたんで。スペインの生活はとっても好きでしたね。乾いてる気候もそうだし、みんなの陽気な雰囲気もそうだし。


IE入学後、スペイン語すごい頑張ってましたね。


そうですね、プログラム始まるのが MBA の人より一か月遅かったんで。でも同じぐらいの時期に行ってまず一か月一人で語学学校に通いました。学校が始まってからはプログラムに慣れたり、英語に慣れるのがちょっと大変だったんですけど、途中からオンラインのスペイン語レッスンを始めて自分でちょこちょこ練習してました。


あんまり人が行かないとこにいってみようと思った

そしてIEご卒業後、スペインの法律事務所、続いてパナマの事務所へ。


卒業してすぐはスペインの法律事務所で研修させてもらって、そこで半年ぐらいですかね、その後パナマの事務所に移動して4ヶ月ぐらい研修しました。


パナマって想像つかなかったんですが、どういう経緯で研修することになったんですか?


実は自分で探しました。もともと事務所からは好きなとこ行っていいよって、どこの地域に行けとか、アメリカに行けとかそういうのなかったんで、スペインのIE Law Schoolが面白そうだと。でも2年目どうしようって、何も決まってなかったんで、せっかくスペインに来たからスペイン語もやれば中南米の仕事もできるかなと思って。

日本の弁護士で中南米行ってる人は少しだけいるんですけど、ロースクールじゃなくて仕事で行ってる感じですね。もともと商社とかメーカーさんとか日本の大きい会社がクライアントになってる事務所の若手弁護士が、ブラジルとかメキシコで実務を学びにいってるっていうのがあるみたいなんです。けどうちはそういう事務所とは少し種類や規模も違うので、同じとこにいってもちょっと面白くないなと思いました。ただあんまりマイナーすぎるとこに行っても仕事になる可能性がないなと思ったんで、色々探してみたところ、パナマが特徴があると。国の規模自体は小さいけど、仕事になる可能性が結構あるのかなと思って、興味を持ったんです。

様々な企業の中南米の地域統括本部をパナマに誘致しようっていう政策で税制の優遇をしているので、アメリカから下、メキシコの下からブラジル以外の中南米までのスペイン語圏の国をパナマに本部を置いて面倒を見てる会社が結構あるんですね。

 


ヨーロッパで言うとルクセンブルグみたいな位置づけでしょうか?


そうですね、国としては中南米のシンガポールを目指しているようです。運河があるんで、いったんパナマに物を持ってきておいて、中南米のいろんなとこに出すっていう仕組みが、お金がかからないようになってるんですね。ふつうは一度国に入れるとそこで関税かかって、また出す時税金かかって、ってなるんですけど、外に出す前提でパナマに置いとく分にはお金取らないっていう運用をしてるので、一旦持ってくれば比較的短い期間で色んな所にもの出せるっていう。それから、元々運河を作ったのが米国で20年前にパナマに変換されるまで運河地帯は米国領だったのもあって、通貨がドル(注:通貨はバルボアだが、1バルボアは常に1米ドル)なんで、通貨リスクがないですよっていうのを売りにしてやってるみたいですね。


チョイスがまた面白いですね。


あんまり人が行かないとこにいってみようっていうのがコンセプトだったので。


スペインとパナマの事務所は公用語はスペイン語ですよね。


事務所の弁護士はみんな英語はできるんですけど、僕スペイン語をやりたいからスペイン語でなるべく喋ってくれって頼んで、何回も聞き直してましたけど一応スペイン語で仕事してました。受け入れる方も大変だったと思いますけど・・・。LLMプログラム終わって半年ぐらいマドリッドにいて、パナマは結局4ヶ月の滞在でした。


卒業してもしばらくはIEの人とは会えていたんですね。


みんなが混ぜてくれたんで。僕が法律事務所にいるときも一緒にサッカー観にいったり、MBAの人たちが送別会までしてくれたりとか。1年半スペインにいたおかげで、同期は17Sepですけど、17Janから19Janまで沢山のMBA生とも知り合えて、情熱を持った若いビジネスマンや起業家と色んな話ができたのが、予想外の恩恵でありがたかったですね。


留学前と留学後のお仕事内容は変わりましたか?


今のところそんなに変わらないです。だから今までの2年の経験と人脈を活かして、これからも語学をやったり、留学で得た関係性を保ちつつ、スペインとかパナマに関係する仕事を少しづつ増やしていきたいと思ってるんですけど。

なんで僕がスペインの事務所で働けたかっていうと、そこのボスがスペイン人なんですけど、過去に日本の文科省の奨学金もらって、日本に留学してた人なんです。日本大好きでスペインに帰ってからも日本の人と付き合ったりして、日本のお客さんもいるんですよね。で、もっと日本の仕事をしたいんだって思ってるところに、日本の若造がなんだか勉強したいと言って来てるぞと、たまたま会うことになって、研修させてくれることになりました。2年間の海外滞在中に1度だけ日本に帰国したんですけど、それはそのスペイン人ボスと一緒に山口県に行ったんですよ。日本・スペインシンポジウムっていう会議に参加するためでした。

 


プロフェッショナルとしての目標は?


2年間で身につけたことの一つって、ありきたりかもしれないですけど、人と自然な気持ちで接するということですね。英語やスペイン語とか外国語でのコミュニケーションって、みんながどうするのか見てから動いたりとか、どうしても最初はあるべきものに従わないといけないんじゃないかとかそういう風に思ってたけど、海外で生活しているうちに、そんなこと気にせずに自分の言いたいことを言って相手の言いたいことを聞くのが当たり前なんだっていうスタイルに慣れました。日本であろうとなかろうと気にせずに、いろんな人と会って自分の能力をフルに使って、面白い仕事をしたいなっていう風に思ってます。


留学で学ばれたことを糧にさらなるご活躍期待してます!ありがとうございました!