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Venture Day Finalへの道(Jan-2018 intake)Vol.2

6) Venture Dayファイナル

Semifinalの結果は、11/20に知らされました。よって、Finalの11/29日まではあまり日はありません。

多くのFinalist達はプレゼン内容の調整などに時間を費やしていましたが、我々Don BuriはYan Ken PonでのDon Buri販売が11/23まであるため、これまでと変わらず、お店に出て、顧客との店頭での会話やフィードバックの更新に務めました。

 

また、我々のDon Buriのコンセプトは、「美味しくて安い日本食を多くの人に届けたい」というもの。Ventue Dayには、IE内外から300人以上の人が訪れます。折角もらった機会なので、venture Day 当日に、会場でDon Buriをピンチョスタイルで提供したいと、Paris他事務局にお願いし、許可を得ました。こんなことをしても当日の審査員の評価が変わるわけでもないですし、ピッチもあるのに余計な仕事を増やすだけとも言えます。ですが、Don Buriのビジョンと自分達の思いに素直に従い、やろうということになりました。

 

Venture Dayの前日には、スペイン北部のレストランで働いていた日本人シェフのT氏も駆け付けてくれ、Yan Ken Ponのメンバーと特製Don Buriを3種類、小ぶりな皿に400食ほど用意しました。当日のプレゼンも、Yan Ken PonメンバーとT氏が参加してくれ、Don Buriメンバー総出で、これまでずっと取り組んできたこと、我々の思いを全力で出し切りました。残念ながら優勝することはできませんでしたが、Don Buriの提供からピッチまで、悔いのない取り組みができました。

 

7) 所感、さいごに

二学期のEntrepreneurial venturingクラスから8ヶ月間Don Buriというスタートアッププロジェクトに取り組み、最後は、9月のKnowledge Incubatorクラスから新たに参加してくれた日本人のMさんを加え、5人のIEメンバーでVenture Dayまでやり抜きました。

 

Start Up Labの体験談で書いた気付きに加え、Venture Dayを終えるに至るまでの更なる学びについて、少し述べさせていただきます。

 

① リーダー、マネジャー、プレイヤーの全ては両立できない

 

Manual Simulationを始める頃には、授業、Yan Ken Ponとの商談、レシピ開発、プレゼン、販促物製作、メンター・投資家とのやりとり、IMBAスタッフとのやりとり、これらプロジェクトマネジメントなどなど、やらなくてはいけないことでパンク状態になりました。

しかし、一部のチームメンバーのモチベーション低下やコミットメントが下がっていることもあってか、To-doがうまく機能しない。リーダーである私がやるしかないという思いで、多くのことを自分でこなしていました。と同時に、これらすべてをうまく回せないのは自分の力不足ではないかと感じ、悶々とした日々を過ごしました。その中で、Knowledge Incubatorのクラスにゲストスピーカーとして来られたとある起業家にアドバイスを求めたところ、

 

3つの両立は誰もできない。君はリーダーをやりなさい。リーダーとしてVisionを語り、周囲を巻き込む。そうすれば、投資家がお金を出してくれるから、そのお金で、コンサルから最強のマネジャーを雇えばいいのです。弱みの改善を行う姿勢は重要だが、君が、他の人とDifferentiateできる点を忘れてはいけない。そこに注力するのがあるべき姿ですよ

 

と、言われました。肩の荷がフッと降り、コンサル出身の日本人メンバーMさんにチームのプロジェクトマネジメントをお願いし、私は、リーダーとしての外商活動をメインで行うことに注力しました。

 

② Visionが同じ、Workingスタイルが近い、必要な能力がある。この3つが、起業メンバーに求める三要素

 

スタートアッププロジェクトを通じて、正直、「こういう人と一緒に起業するのは難しいな」と、実体験をもって感じることが多々ありました。どちらの考えが良い/悪いではなく、考え方や働き方は人それぞれで、でも、数少ない共同創業者メンバーの中でそれが発生してしまうと、前に進むにあまりに足枷となるというものです。

例えば、メンバーの一人、Phillipine人のKenjiは、常に売上と利益を真っ先に考える人でした。Venture Day当日にDon Buriピンチョを提供する際、お金を取るべきだというのが彼の考えで、「イベントに来る方々にまず試してもらう、楽しんでもらうことが大事。だから当然無料」と言う私の考えとは、大きく違いがありました。

 

また、Workingスタイルという点では、Start Up Lab体験記で書いたことに加え、どのタイミングで作業を開始し、何パーセントの出来を自分達のゴールとするかという設定まで、人によって大きく違っていることに気付きました。例えば、一般的に日本人は、段取りや準備にかなりの時間を使い、当日の即興など不確定要素を少なくしようとする傾向にあると思いますが、それは世界的に見ると当たり前のこととは言えないのではないかと感じることが良くありました。

 

いずれにしても、起業は誰から頼まれた訳でもない0→1のプロセスであり、数人しかいないCo-founderと足並みを揃え、役割分担できなければ、達成は相当難しいものになると感じました。

 

③ 信念を貫く

 

多くの人、多くのチームが、IEでスタートアップのプロジェクトを実施し、一歩二歩と歩みを進めていきました。一・二学期のアントレの授業、Start Up Lab, Venture Lab, Knowledge Incubator。その様々な道中で、様々な理由により、誰かに否定されてアイデアを変更したり、チームが機能しなくなったり、情熱を失ったりしていく人・チームをたくさん見てきました。

 

Don Buriも、9月頃までは、指導教授のParisから全く好かれてはいませんでした・笑   でも、我々は、「投資家や教授の好みなんて関係ない。自分達の信じる道を行こう。絶対に、うまくて安い日本食と、日本の漫画・アニメのニーズはある」という確固たる信念を持って突き進みました。ただそれだけでしたが、その思いが自分達の行動力に繋がり、熱い思いが周囲の心を動かし、たくさんのサポーターを得て行きました。

 

Venture Day終了後、Parisから、「これまで長い間教えてきたが、お前ほどパッションがある奴は見たことがない。Don Buriも、お前のことも、二度と忘れない」と、言われました。

IEのスタートアッププログラムから、ハード・ソフト様々なスキルと経験を得ました。その中で、自身の最も大きな気付きとなったものは、「何事もやるか、やらないか。そして、やり抜けるか」というものです。言葉にしてしまえばなんてことはないものですが、これをできるかできないかが全てを決めるのだと、身をもって体感しました。

 

Don Buriと、私自身のこれからについてですが、Don Buriについては、日本人シェフのT氏を中心に、Don BuriメンバーであるIさんの助けも借りながら、2019年も継続して出店に向けた準備を行っていくということになりました。IEでの生活を通じ、ありがたいことに我々のプロジェクトと私自身を買ってくれている投資家が数人おり、彼らと連携しながら、クラウドファンデイングも実施して店作りをしていこうと考えています。また、私自身も日本で起業したい案件があるため、その立ち上げに向け、先述の日本人デザイナーの方とコンセプト作りをしていきます。

 

私は社費生であり、会社勤めも続けますが、2018年は政府も副業解禁の年としました。新しい考え、働き方を提案し、会社・社会に貢献していくためにも、自身の目標をしっかりともち、突き進みたいと思います。

 

相変わらずの長文となってしまいましたが、ここまでお付き合い頂き、どうもありがとうございました。最後に、改めまして、お世話になった教授、メンター、投資家、IMBAスタッフ、知人・友人、シェフ、Yan Ken Pon、日本人コミュニティの皆様、デザイナー、販促会社、日本食材店、Don Buriチームメンバー、応援して下さった派遣元企業の人事部の皆様、そして家族に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 

本当にありがとうございました。