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卒業生インタビュー:浦部雄平さん(IMBA2017)

2017年7月にInternational MBAを卒業した浦部さん。

 

卒業後はそのままスペインに滞在し、インターンシップを経験。その数ヵ月後、今度はフランスのパリでスタートアップに就職。ヨーロッパの非英語圏で、しかもスタートアップへの就職。どんな経緯だったのか、聞いてみました。

 

 

できることは極力自分でやったほうがいい

まずTriple Wという会社について教えてください。

 

Triple Wの由来は、WWWという世界中で使われている規格。創業者の方がそれくらい浸透させたいという思いを込めて、この社名になったそうです。

 

プロダクトは簡単に言うと、トイレに行くタイミングを予知して教えてくれるデバイスを提供している会社で、主には高齢者向けです。今は特に介護施設で使ってもらっていて、介護者が適切なタイミングでトイレに連れて行くとことができます。

高齢者だと施設に入っている人の6割~7割はオムツで、何かしら排泄の問題を抱えているんです。例えば高齢で尿意を感じなくなってきたりとか、あとは認知症でうまく伝えられないとか、身体が不自由になって間に合わないとか。すると介護施設のスタッフも忙しいので、どうしてもオムツ頼みになってしまい、だんだん動く必要もなくなり、結果的に身体が衰えていく、そういう悪循環がよくあります。

 

でも、極力自分でできることはやった方がいいんです。これまでできたことができなくなってくると気持ち的にもネガティブになるし。だからこれをつけてもらえば、自動で介護人のスマホに連絡が行くんです。そして鳴ったら連れて行く、と。

フランスの施設でトライアルしたんですけど、フランス人ってデータを施設にあげるんじゃなくて自分でも見たい、自分でタイミング決めたいという思いが強いみたいです。だからうちのサービスと合うんです。

 

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マーケットは現在はB2B。主に病院や介護施設向けだが、今後はB2Cも考えているという。政府の方向性もあり、自宅で出来る限り介護するという方向性になっていくためだ。

仕組みは、おなかに測定デバイスをつけて、超音波で膀胱の大きさを計測。一定以上溜まったら通知するというもの。医療デバイスではなく、小型家電のような位置づけ。個人向けも販売予定で、トイレトレーニング完了前の就学前児童向けにも対応する。

企業の体制としては日本の本社、フランスのパリ、そしてアメリカだとのこと。

 

パズルのピースをつなげていった

そもそも、社長さんとはどのように出会ったんですか?

 

IEにいたころに高齢者向けのビジネスを立ち上げようとしていたんです。それでこの会社の社長に色々と相談していたんです。結局自分のビジネス立ち上がらなくて、その時にちょうどヨーロッパの立ち上げをやろうという話がきて、じゃあやります。と。笑

 

すごいタイミングですね。まさにご縁。キャンパスライフについて伺いたいのですが、Net ImpactのVPはどうでした?学業との両立はかなりハードじゃなかったですか?

 

面白かったです。めっちゃ大変でしたが。笑

自分はGlobal Villageの担当だったので。いや~、大変でしたね。面白かったですけど。

Social Responsibility Forumを秋にやって、春にもまたBoot Campみたいなものをやって。それで夏前にGlobal Village。10人くらいが実働部隊で、分担してちゃんとやっていましたね。

 

基本的に自分の起業の勉強や準備に一番力を入れていたんですが、それにまつわることを色々やっていました。授業もそういう分野ばかりでしたし。

今回の2017年9月Intakeの学生は主体的に動く人が多くて、自主的に起業アイデアを発表する場を作ったんです。第一回は僕が発表しました。あれは良かったですね。

 

 

じゃあもちろんアントレの授業は?

 

Parisの授業とってました。笑 とても良かったです。Venture LabではなくKnowledge Incubatorっていう授業です。

 

彼の授業は結構自由で、それが良くて、好きなように時間を使えたんです。授業だけじゃなく、それを超えた色んなこととつなげてくれて。

一番良かったのは起業家ビザ。授業の中でビジネスプランを書くんですけど、スペインの起業家ビザ申請に出せるくらいのクオリティの書き方を教えてくれて、これなら申請出せるから、その準備もしていいよって。それでビザ取れたんですよ。しかもスペイン語じゃなく英語で書類書いて。

 

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それで取得できたスペインの起業家ビザ。スペインでの滞在期間のデッドラインを引き伸ばすことが出来た。もともとヨーロッパで仕事をしながら起業の準備しようと計画をしていた。

 

パズルのピースを埋めるように、IMBAのUnpluggedを選択し、スペインでインターンを見つけ、滞在を延ばした。インターンをしている間に起業家ビザがおりて、うまくつながったという。

 

インターンシップ先はマドリードにあるファッションのベンチャー。在庫管理システムをファストファッションにおろすという、ZARAのオペレーションを他でも真似できるようなシステムだった。とにかくがむしゃらに、無給でもいいからと色々な企業へ応募し続けた。スペイン語のレベルもIEの日本人学生レベル。だが、アタックし続けたことが功を奏し、インターンの機会を射止めることが出来た。

 

 

インターンもめちゃくちゃ面白かったです。ヨーロッパ中で展開していて。だから基本Slackとかでは会話が英語なんです。ミーティングも英語で。すごい楽しかったですね。スペイン人と働くとカルチャーがよく分かるんで。IEだと国連みたいじゃないですか。笑 なので、実はIEにいてもスペインのことはよくわからない。

 

確かに!笑 スペイン人との仕事はどうでしたか?

 

スペイン人まじめなんですけど、良い感じで力が抜けているかな。だからいつもオフィス行って、12時くらいになるとSlackでどこの昼飯いく?って投票して。で、みんなでランチいってスペイン語でやんややんややって。笑 

 

海外就職ってやっぱり気合ですね。笑 気合でしかないです。状況を読みながら。

 

やっぱりIEの名前ってスペインの中でスタートアップに知られています。IEを卒業したばかりっていうのはブランドがあって、インターンなら給料も安いしということで、スタートアップにも受け容れられやすかったと思います。

 

今のTriple Wのパリ支社は一人?

 

日本人がひとりいて一緒にやっています。自分は営業、人事、経営もやってます。

 

一番大変なのはやっぱり言葉。コミュニケーションのベースになるので、すごいDisadvantageになる。フランスの病院とか施設に行くので、最初は工夫をしなきゃいけなくて。今は業界団体にはいっていて、高齢者向けビジネスをやっている人たちのコミュニティに入ったり、同様のテーマを持つスタートアップが集まるコワーキング・スペースに入ったり。コワーキング・スペースなら英語で入れるんで。

 

現場では通訳入ってもらって。アプリ自体は多言語対応です。ただ、ビジネスの仕方も、パーティみたいなところで会話しながらなので、みんなフランス語で話しているところをいきなり英語で話すのも勇気要るんです。だから最初のつかみのフランス語くらいはできるようになりました。

とにかく工夫が必要です。今度ひとりフランス人が入ってくれるので、どんどんやってもらいたいです。

 

 

フランスでの日本のスタートアップへの印象は?

 

殆ど認知度ないです。ゼロですね。なんとなくイメージはあるみたいなんですけど。日本って進んでるよね?みたいな。

 

フランスはやっぱり遅れているというか極端というか。小切手未だに使ってるんですよ。いま小切手きりまくってます。だからシェア自動車とかは街中ですきなように使えるんですけど、一方で小切手。笑  おもしろいですねフランスは。

 

将来の目標は?

 

自分でなにか新しいサービスを作って世に広めて、世の中の課題を解決したい。色んなことが絡み合って今になっていると思います。でも今の仕事で生きているなと思うのは、いろんな考え方の人たちと、これまたいろんなことを一緒にやったっていう経験。今いきなり初めての国の人から突然連絡があっても、自信を持ってできるかな。って。

昨日もナイジェリアから電話あったんですけど、IEだったからこそナイジェリア人の友達いたし、キャパシティが広がったなと思いますね。

 

それから、すごく良い人が多かった気がします。世界とつながってるっていうか。面白いですね。