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Gonzalo Garland教授マスタークラス抄録

日本オフィスの飯野です。

7月6日に経済の教授であり、且つIEのExternal RelationsのVice President(つまり幹部ということ)でもあるGonzalo Garland教授が来日し、MBA等のキャンディデートや卒業生向けにマスタークラスを実施しました。

Gonzalo Garland教授は、MBAでも最も人気の教授のひとりで、1月入学のIMBAの経済のクラスを担当しています。

 

今回は参加できなかった方のために、簡単ではありますが抄録をつけさせていただきます。

 

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歴史を振り返る

  • 過去2000年の人類の経済史をひもとくと、実はかなりの長い期間、1800年代に産業革命がおきるまで、地球上の全人類は地域問わずほとんど経済的に貧しかった。
  • 1800年代の産業革命で得をしたのは西欧、そしてUS。実はそれ以外の地域はすぐには恩恵を受けていなかった。
  • 次のジャンプは1950年代。日本(戦後)と東欧が一気に経済成長をとげた。
  • 「The Atlantic」のグラフをソースにしてみると、同様に2000年のうち1800年代までは実は世界の経済の80パーセント近くが中国とインドが占めていたことがわかる。そして産業革命以降は西欧とUS、そして日本。ただしこのグラフは世界経済に占める「割合」に過ぎない。中国とインドが現在の西欧やUSのようなSuper Powerだったかというとそうではなく、世界のみなが一律に経済的に貧しい時代だったので、人数が単純におおい中国とインドの経済力の比率が大きかっただけ。

 

人口とGDPの話

  • 世界地図を人口比率をベースに歪めた地図を使って説明。先進国は2050年には人口がより減って、変わりにインド、中国、アフリカといった地域が多くなる。北欧やオーストラリアはもともと人口が少ないのでほとんど見えなくなっている。
  • これまでの世界はAtlantic Oceanを中心とした経済圏がパワフルだったが、これからはPacific Ocean中心に世界を見る時代。
  • 2016年のGDP統計は、US、中国、そして日本の順。しかしながらこのGDPは各国の通貨からUSDへ変換していることと、各国の物価を考慮に入れていない。PPP(Pricing Power Parity=購買力平価)ベースで換算しなおすと(※次に説明)、実は中国はUSを抜いており、USの次がインド、そして日本となる。(Billion USD)
    • US      18.569
    • 中国   11.199
    • 日本    4.939
  • USでタクシーに乗って1キロ移動したときの値段と、中国でタクシーで1キロ移動したときの値段は当然異なる。だから実はふつうにGDPを比べるだけでは、中国のGDPは過小評価されているということになる。USDベースで同じサービスやモノの価値は各国で同じと仮定したとき、こうなる。(Billion USD)
    • 中国 21.417 
    • US      18.569
    • インド  8.703
    • 日本    5.266
  • USDベースなので、USのGDPは変わらない。逆に中国はおよそ2倍の値となる。物価が各国で同じだとすると、こういう現象になる。

 

リセッションからの回復について

  • 2008年のリーマンショックからのリセッション後、2010年頃には世界で景気回復したが、再度GDP成長率が各地でドロップ、2013年~2015年にかけてはAdvanced Economyの経済回復がEmerging Economyの経済低下を相殺していた。2019年に向かっては全体的にみると回復しつつあり特にAdvanced EconomyもGDP成長率が2%を超えている。(Convergence、収束といっていた)
  • US、ユーロ圏、日本、英国で比べると、英国はBrexitの影響で緩やかに成長率が落ちてきている。
  • 2009年~2019年の10年間のGDP成長率を各国・経済圏ごとに比較していったが、教授の全体的な見解としては、各地域ごとに上下はあるものの、2019年に向かっては成長率がプラスで収束に向かっていて、比較的楽観視している模様。(各国の説明があったが、割愛する)

 

地政学的な課題について

  • ここではEconomistなどの雑誌の表紙をいくつか取り上げ、象徴的な地政学的課題について言及。
    • Brexitが英国にもたらすマイナスの影響、特にイギリスの銀行に注目。
    • アメリカのトランプ政権によるTrade War。これまでの世界・・東インド会社などの時代から・・・はFree Tradeであったが。教授の考えとしてはどの国にとってもメリットはないとのこと。
    • アメリカと北朝鮮関係。シンガポールの会談で緊張は緩んだとはいえ、まだ安心できる状況にはない。
    • いうまでもなく中東情勢、イランとサウジアラビア
    • ビットコインなどの仮想通貨の動き。2017年7月のForbesはバブル論を展開。
    • 貧富の差(ただし、1800年代から長期的にみると、人類の生活は確実にPoverty Lineよりも右側へシフトしていっている)

 

今後注目すべき点

  • 中国の「One Belt, One Road」計画
  • G7からG8、G20へ。そして国連やIMFといった機関のあたらしい役割に注目。G20になったからといってG7、8が無用になるわけではない
  • New Development Bank、Asian Infrastructure Investment Bankなど。
  • 今後の欧州の役割とは?
  • 移民問題、発展国における高齢化社会問題。世界的な人口構成比率の変化
  • 経済格差問題。ただし地球上の全員が現在の欧州と同じレベルの生活水準をすべきかどうか?Sustainableな解決策とは?
  • テクノロジーがもたらすインパクトが未知数
  • エネルギー分野での変化
  • 中間所得層の増大によるプラス面とマイナス面。価格へのプレッシャーやインフレの懸念。
  • 保護貿易に向かっているのか?
  • 将来はより緩やかな経済成長?

 

Best. Decade. Ever?

 

2010年に書かれた、2001年~2010年を評価した上記のタイトルのコラムを引用。

2001年~の10年間の間に、911のテロ、アジアの津波、ハリケーン、SARS、そして多くの内戦が起きたが、それにも関らずこれまでにないくらい人類の生活レベルは向上し、より多くの人々が教育へのアクセスを手にし、寿命も延びこれまでにないくらい平和に暮らしていることもまた事実である。

 

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細かいところは割愛しましたが、ポイントとしては以上です。

マクロ経済なのでだいぶ俯瞰した見解でしたが、2000年前からの世界規模での経済活動の流れを理解するのにとても役立ちました。

 

 

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