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IMBA卒業生によるStartup Lab体験談 (2015年9月Intake)

IE Startup Lab

 

IEのスタートアップラボは、とにかくPracticalの一言に尽きると思います。近年の流行りもあると思いますが、どこのMBAでもアントレプレナーシップが注目され、一つのコア科目としてプログラムに組み込まれていると思います。しかし、IEがこれほど世界中MBAでもスタートアップカリキュラムが高く評価される理由は、どこよりもPracticalさを追求しているからではないでしょうか。

 

徹底した人選

 

まず、スタートアップラボを担当するFacultyが良かったです。実際に起業家として、VCとして活動されている方々が講師として教えてくれますし、ラボ期間が始まると各グループにメンターが一人つくのですが、こちらも実際にビジネスとして成功された方々がつきます。そして毎週メンタリングセッションがあり、アドバイスをうけます。彼らの成功体験や失敗が講義やアドバイスに反映されるため、アカデミックに偏らず、とても地に足のついたものでした。個人的に記憶に残ったのは、Funding Your StartupのPaz Ambrosy Eyzaguirre氏の講義です。VCの方で、内容は文字通りスタートアップがどのようにして資金を調達するか、ファイナンシャルプランをどのように見せるかというものでした。出資する側がどういった数字に着目し、また、発足まもないスタートアップ組織をどう企業価値として評価するのか。綺麗ごとばかりではない泥臭い話も多く、さすがにその道のプロでなければ聞けないものが多くありました。余談ですが、私のチームは運悪く(?)ファイナンス経験者がおらず、計算が得意だからという単純な理由で私が担当していました。コアタームのファイナンスの授業で学んだ以外はまったくの経験がゼロだったため、学んだばかりの知識を自分たちの会社にどう応用し、当てはめていくのかよく分かりませんでした。そのため、Paz氏の講義が理論と現実を結びつける非常に良い学びになったのを覚えています。

 

本気のプレゼン

 

 次に、ラボ期間の毎週末に行われるピッチ大会(5分間のプレゼン)も良くできたシステムだと思います。毎週金曜日は各グループがそれぞれのビジネスアイディアを審査員たちの前でプレゼンし、評価を受けます。評価は点数としてラボ内でのグループの順位、そして個人の成績に繋がります。順位がつけられるため、グループ間の競争意識も働きます。審査員は当然起業家や、VCとして失敗も成功もされたばかりの方々なので、想像以上にシビアなものでした。ビジネスアイディアがどれだけ投資家にとって魅力的なのか、ビジネスとしてリアリティがあり、彼らが本当に投資してみたい感じられるものなのか、審査員は毎週それぞれに与えられた持ち点をグループに投じて行きます。もちろん、審査員によって評価基準に差があるので、同じようなプレゼンを二週続けても点数が変わったりします。 グループによっては点数が悪かったりすると、「あの審査員は何もわかってない」や「あの審査員にあたって運が悪かった」と愚痴を吐いているところもありました。実際そういった部分はあったのかもしれません。しかし、これから本気で起業していく中で、投資家やVC、これからビジネスをサポートしてくれる人に評価されなければならないのは言うまでもありません。どうしたら5分という限られた時間の中で、審査員を惹きつけるかという問題に気がつきます。

 

私のグループはよくこの内容で議論を重ねたのを覚えています。

 

論理的で筋の通るストーリー構成も大事でしたが、惹きつけるためにはどうしらいいのか。そのため、審査員が男性か女性かによってプレゼンの中の登場人物を変更したり、写真やスライドの雰囲気を変更しました。ファイナンス系の人が審査員と分かれば少し数字に深みのあるプレゼンにしたり、毎週アレンジを加えていったのを覚えています。そういうこともあり、スタートアップラボでは時間が許す限りプレゼンの練習やパワーポイントに時間を使っていました。他のグループの発表を見るのもいい勉強になりましたし、なにより“リアルな相手”に自分たちのアイディアぶつけられるのもIEのスタートアップラボを熱くさせるのだと思います。

 

ロールプレイではない

 

 最後に、そして最も重要なのは、スタートアップラボから実際に起業につながることだと思います。アイディアから始まり、ラボを通してビジネスとしての骨肉をつけ、まわりからの評価を得ると、次のベンチャーラボ、そしてベンチャーデーへと進んでいきます。そして実際に資金を調達して、卒業後のビジネスに至るケースがあります。出資はスペイン政府からのソフトローンであったり、ラボ期間中に出会う講師やメンターからの場合もあります。ラボに参加するグループも多いので簡単ではないかもしれませんが、少なくともスタートアップラボがただの卒業単位としてのカリキュラムではないと言えます。リアルにつながっているからこそ、先にあげた、講師や仲間から真剣に学ぼうとし、プレゼンに対しての姿勢も変わってきます。常にVCや起業家の目の前で挑戦できる面白さは、なかなか他のMBAプログラムにはないのかなと思います。

 

また、面白いのはそれほど起業というものに馴染みのなかった生徒でも、結果として、スタートアップラボを勝ちぬき、そのままマドリードに残る人もいます。彼らは「IEに来る前は想像もしていなかった」、「実際に出資をうけて人生が変わった」と言います。余談ですが、私たちのグループもスタートアップラボからベンチャーラボへと進み、プログラムディレクターの教授にも「最優秀にはならないかもしれないが、ベンチャーデーでのプレゼンは確実だろう」と言われていました。しかし、本当に自分たちのところに金がはいるかもしれないという現実感が漂ったとき、初めてメンバー同士でもめました。卒業後も誰がマドリード残ってビジネスを継続するのか、シェア比率をどうするのかといった金銭問題です。結局、輪が乱れて士気も下がり、最後のベンチャーデーまで進むことはできなかったですが、正直そんなバカな・・と思えるような経験をしました。

 

IEを検討されている方々へ

 

色々と感じたことを書きましたが、どこよりもpracticalに作られたIEのスタートアップラボだからこそ、それだけリアルな経験があり、魅力だと思います。そして、なにより多くの学びを得られるのではないでしょうか。 私は間違いなくそれらを強く得ることができましたし、本当にいいプログラムだったと思います。これから留学される方々には是非IEでスタートアップラボを受けることをお勧めします。